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国際教養学科の松谷基和教授が訳書した『韓国軍事主義の起源 青年朴正熙と日本陸軍』が出版されました

2024年08月26日

 本学国際学部国際教養学科の松谷基和教授が訳書した『韓国軍事主義の起源 青年朴正熙と日本陸軍』が、慶応義塾大学出版会より出版されました。

【書籍について】

 

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【松谷教授のコメント】
 本書は、戦後の韓国の高度経済成長を導いた朴正煕政権の思考や行動様式の源流が、戦前の日本軍の士官学校で実施された独特の教育・体験に求められることを、徹底した文献・インタビュー調査で裏付けて論じたものです。
 一般論として、戦後の韓国社会や韓国軍には日本軍の影響が残ったと言われますが、その具体的な中身については詳細に論じられることはありませんでした。
 しかし、この著者は数十年来、このテーマを追いかけてきた人物(私のハーバード時代の恩師でもあります)であり、本書では朴正煕はじめ戦後の韓国の軍事政権を担った中心人物たちが満州国の軍官学校や日本の士官学校で何を学び体験し、それが彼らの国家・経済・社会・人間に対するものの見方や関わり方をどのように規定してきたのかを詳細に明らかにしています。
 日本軍の軍事史に関する言及も多く、明治維新から2・26事件に至るまでの日本の軍事史の流れが朴正煕のような朝鮮における軍人の登場・台頭の流れとどのように結びつくのか、日本の士官教育の特徴とは何であるのか(欧米との比較の視点から)、また日本が設置した満洲国の軍官学校における「五族協和」の実相はどうであったか(例えば、中国人と朝鮮人生徒の関係性の実態はどうであったか)などなど、興味深い論点が多数盛り込まれています。
 もちろん、本書には日本軍の教育や韓国の軍事政権を美化する意図はありません。あくまでも、近代韓国を理解する上では、戦前の日本陸軍の教育内容・手法の影響を把握することは不可欠であるとの歴史家的立場から、近代化を目指す朝鮮/韓国に現れた軍事優先的な思考・行動様式=「Militarism軍事主義」が、19世紀以降の朝鮮史の流れの中でどのように生まれ、発展し、さらに日本の支配下でどのように変化したのかを長い時間軸の上で多角的に検討したものです。
 単なる一軍人の評伝や、狭い意味での韓国の歴史書ではありませんので、近現代史一般に関心を持つ方であれば、専門分野を問わずに幅広い層の方に興味をもっていただける要素が詰まっております。

 『韓国軍事主義の起源 青年朴正熙と日本陸軍』(慶応義塾大学出版会)
 刊行日:2024(令和6)年8月30日
 出版社:慶応義塾大学出版会
 判 型:A5
 頁 数:512頁
 ISBN:978-4-7664-2976-3
 C-CODE:C3022
 価 格:¥7,920(本体¥7,200)

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 慶応義塾大学出版会ホームページ