法学研究科長 辻田 芳幸
1. 大学院教育の位置づけが変わりつつあります。
いま、大学院教育の位置づけが大きく変わろうとしています。これまでの大学院は、「学問を究めたい」人がいくところでした。しかし、いま、そしてこれからの大学院(特に博士前期課程)は、学士課程(いわゆる学部)レベルで獲得する専門性では足りない職業につきたい人が学ぶ、「ふつうの」専門教育機関になります。理学・工学・薬学・医学など理科系の大学院は、とうの昔からそうした位置づけが確立し、多くの学生が大学院に進学していましたが、ついに文系の大学院、そして法学・政治学系の大学院もそうなってきたのです。
学部生のみなさん、みなさんがこれから法や政治に関する専門知識を生かした職業について、活躍しようとするなら、大学院で学ぶことは「ふつう」のことになります。そうした職業で必要とされる専門知識は、学部レベルの学びではまったく足りないからです。大学院進学は、その不足を、早期に、そして結果的には比較的安いコストで補うためのものになります。公務員になりたい人も企業に勤めたい人も、法や政治の専門知識で勝負しようと思うならば、少なくとも修士号をもっていないと…、という時代が来ているのです。
2. 専門職のキャリアアップ支援を目指します。
法学研究科の主な教育目標は、専門職業人の育成と再教育、つまり、法学・政治学の専門性を生かした職業人のキャリア形成とキャリアアップです。
税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士などの専門職業人になろうとする人、あるいはすでになっているが、もっと専門性を高めたいと思っている人。また、公務員、企業人、教員などを目指している人、あるいはそうした職業についているが、法や政治に関する専門知識を生かしてさらにキャリアアップをしたい人。法学研究科は、まさにそんなみなさんに来ていただきたいのです。
特に、わたしたちは、社会人のみなさんの入学を心から歓迎します。法学研究科には、授業の曜日(土曜日を含む)・時間(昼間・夜間)、授業の内容、修了までの履修計画など、社会人のみなさんの要望にできるかぎり応えようとする制度と気持ちがあります。ご自身のキャリアアップのために、法学研究科を活用してください。これまで入学した社会人の方々は、いずれも充実した大学院学生生活を送り、所期の目的を達成しています。
また、法学研究科では、博士前期課程(修士課程)修了後に博士後期課程(博士課程)への進学も可能です。法学・政治学を究めたいと考えている社会人の方、法学・政治学の研究者を目指す方により高度で専門的な研究の場を提供しています。
3. 2つのコースがあります。
法学研究科の博士前期課程には2つのコースがあります。「法学研究コース」と「法学専修コース」です。法学研究コースは研究者になろうとする人のためのコースです。上で述べたような自分のキャリア形成・キャリアアップを目指す人は、法学専修コースになります。
法学専修コースはさらに2つに分かれ、特別の理由で本格的な研究論文を書かなければならない人(税理士試験の科目免除を目指す人など)は法学専修コース(論文)を、そうではなくリサーチペーパーという形の論文を書くことになる人は法学専修コース(一般)を選択します。
通常の研究論文とリサーチペーパーとの違いは、別に詳しく説明していますが、リサーチペーパーでは、研究成果がキャリアアップに結びつくよう、研究論文と比べて、より実践的・実務的な問題を研究します。
4. 充実した教員スタッフによる親身の指導を受けられます。
法学研究科の専任教員は現在21名です。専門領域別では、憲法1、行政法1、租税法1、国際法1、民法4、知的財産法1、商法2、労働法1、民事手続法1、刑法2、刑事手続法1、法哲学1、政治学・行政学4と、法学・政治学の主要領域のほとんどをカバーしています。
入学後は、学生1人に主指導教員と副指導教員がつきます。指導教員は、授業や研究に関すること、論文に関することだけでなく、修了後の進路・キャリア形成に関することなど、どんな相談にも親身に対応します。指導教員以外の教員も、授業を通じてさまざまなアドバイスをします。学生数が少なく、すべての授業がごく少数の学生と教員と双方向で行われている大学院だからこそ、「かゆいところに手が届く」指導を受けることができます。
みなさん、わたしたちの法学研究科でともに学び、キャリアアップのための充実したときを過ごしてみませんか。