東北学院大学

経済学部 共生社会経済学科

科学技術と経済

2016年6月4日、11月26日に第36回社会福祉研究所オープンカレッジが開催されました。一般の方々と一緒に、共生社会経済学科の学生も受講しました。学生の感想の一部を編集して紹介します。

健康増進のための肥満対策が有する倫理的課題-公衆衛生論理への招待-
東京大学 生命医療倫理教育研究センター(UT-CBEL)特任研究員 玉手 慎太郎 氏

  • 講演の中ででてきた公衆衛生倫理の話を聞いて、肥満に対する見方が変わりました。社会全体では、健康増進のために肥満対策が行われていますが、それが個人の自由や自立、尊厳を制限してしまうことにつながるとは思ってもみませんでした。多種多様な現代社会で、太っている、いないに関わらず、一人の人として“みんなで”一緒に健康でいるという姿勢をつくることが大切だと実感しました。また、社会全体で、肥満に対するイメージや意識を根本的に変えていく必要があると思います。どちらかといえば、マイナスなイメージが強いと考えます。そのイメージを一つの個性と捉えることが差別や偏見を生まないのではないかと考えます。
  • 日本では特に若い女の子がモデルさんなどに憧れて、元々痩せているのにも関わらず、無理なダイエットをするケースが多い。無理なダイエットをして痩せすぎてしまうのも肥満になってしまうのも、どちらも健康には良くない。このような中で、「みんなが一緒に健康でいるためのしくみ」を示したのが「公衆衛生」である。しかしいくら「健康でいること」を推し進めていくからといって、個人の自由を否定したり、尊厳を無視したりしては倫理上問題が起こると分かった。

食品ロスと社会福祉政策:フードバンクの公共哲学
本学経済学部共生社会経済学科准教授 斉藤尚

  • 困窮していない人達にとって大切なのは、食べられるのに廃棄予定の食物を食品ロスと考えるのではなく、“食べられるものは全て平等に価値がある”という考え方である。フードバンクが行っていることは決して間違ってはいない。困窮者にとっては恵である。困窮者を救うことは貧困の解消にもつながる。大切なのは一人一人の考え方である。考え方を改めることで政策も多くの面から考え、広く考え、平等になると考える。
  • フードバンクという取り組みの良い点と問題点を学んだことにより、政策を実行に移すことの難しさや道徳的問題、個人の自由という問題が出てきてしまうということを知った。

人工知能は未来の雇用をどう変えるか?
駒澤大学経済学部講師 井上智洋氏

  • 収益の解決案として生産手段の国有化、株式の再分配、所得の再分配という3つの案が出された。その中にうまくいく方法があったとしても、制度をつくり、整えるまでの移行期間に生活できなくなる人がたくさん出てくることだろう。また、仮に社会制度が上手くいったとして、問題はまだある。暮らしの中でロボットが必需品になったとして、災害にあったら、それまでロボットが請け負ってきた仕事は誰がするのかということだ。また、生活の多くをロボットに頼ることで、今私たちが持つ生活能力が失われる。ロボットで何でもかんでも済んでしまうからあまり外に出る機会もなく、運動不足に陥り、病気が増える。しかし医療技術も発展するものだから平均寿命ばかりがのびていく。私はこのように未来を想像する。その未来において、有事の際、ロボットに頼らず生活できるだけの力が、その時の人間に残されているのか。新しい発明、より便利なロボットに民衆が踊らされないか。サイバーテロなどでロボットが予期せぬ動きをした時、自分を守れるのか心配事はつきない。便利になることはとても良いことだとは思うが、本当に必要なものなのか、人間にはすぎたものではないのか。人間とロボットの適切な使い方を私たちは一度立ち止まって考えるべきである。

でも、生活保護とかズルくないっすか?
本学経済学部共生社会経済学科准教授 佐藤滋

  • 佐藤滋先生の講演会を受講して、ひとつの社会問題がまた別の社会問題へと関連していると学んだ。自分自身は毎月貯蓄しているが、貯蓄している理由は将来への不安があるからである。講演会で示されたデータとして、社会全体の平均所得が減少しているにも関わらず、若者の平均貯蓄が高まっているということは、自分と同じ境遇の人がたくさんいるということだ。このように同じ年代の人々が同じ社会問題を意識するということは、社会全体として何らかの欠陥が存在しているのではないかと今回の講演会を受講して私は思った。