知と徳を探究し
新たな価値の創出を

東北学院大学 学長 大西 晴樹
ワンキャンパスが生み出す融合と共創
五橋キャンパスの開学により、隣接する土樋キャンパスを含めた「ワンキャンパス」が実現し一年余りが経ちました。学生の「やる気が出るキャンパス」という声を聞き、また生き生きと集う姿を目にして大変うれしく感じています。
新入生から4年生までが同じ場所で学ぶことは非常に高い教育効果があります。また総合大学の特長を活かし、それぞれの専門分野を深め合う「文理融合教育」が一つのキャンパスで全学生に実施できることも、大きな強みとなりました。多様な専門性を持つ学生が一つのテーブルを囲み同じテーマを語り合う中で、新たな価値観に出合い、相互に化学反応を起こすことができるでしょう。
大学が持つ知および人材の資源は、地域との共創を通してさらに価値が高められます。都心にキャンパスを構えたことで、地元と密接な関係を築く足がかりができました。周辺の歴史ある商店街との交流や、「未来の扉センター」を拠点にした産学・官学連携活動が始動しており、近隣町内会の方々からも「学生ボランティアの活動が地域振興に役立っている」と歓迎していただいています。「第一回五橋祭」には商店街から多くの店舗が出店され、大いに賑わいました。地域との共創は大学の社会貢献だけでなく、学生にとっても大変意義があります。どんどん地域に出ていって視野を広げ、経験を重ねてほしいと願っています。
地域の学びをグローバルな視点へ
時代のニーズや地域の課題に応えるべく、2023年度に「地域総合学部(地域コミュニティ学科・政策デザイン学科)」、「情報学部(データサイエンス学科)」、「人間科学部(心理行動科学科)」、「国際学部(国際教養学科)」の4学部5学科を新設し、それぞれが着実に歩みを進めています。社会課題が増す中で本学がめざすべきは、「地域」「人間」を深く学び、「情報」というツールを活用して、多様性に対応して「国際」的な広がりを持つこと。この3段階の学びを実践し、豊かな社会づくりに貢献してまいります。
世界に目を向けた学びの一環として、留学にも力を入れています。現在ウクライナから3人の留学生を迎えているほか、アジアやヨーロッパとの交換留学も行っています。今後は、本学に留学した学生の仙台、東北での就職サポートも進め、グローバル社会の実現と東北の国際化、経済の活性化に貢献できればと考えています。
「世界にまだないもの」を東北から

急激に変化する時代の中でも、東北学院大学が創設以来変わらず掲げてきた建学の精神が「LIFE LIGHT LOVE」です。私たちは智徳並行の大学として、キリスト教による人格教育に重点を置いています。新入生は教義と歴史を学び、キリスト教の正しい理解を通して人間観や世界観を得ていきます。それは彼らが将来社会で困難に出合ったときにこそ、自ら道を選択し壁を乗り越える力となって発揮されるでしょう。
本学では11,000人の学生と300人を超える研究者、彼らを支える多くの職員が在籍しており、知と技術が集約された都心のキャンパスで学びが深められ、つながり、広がることをめざしています。東北地方は独自の豊かな文化を持つ反面、著しい少子高齢化やDX化の遅れなど課題も抱えます。その中で課題に向き合い、地域の魅力を活かした取り組みを通して、世界のどこにもない価値を東北に生み出し発信する。それは、大学だからこそ実現できるわれわれの使命です。東北学院大学には皆さんが個性を発揮し、豊かな経験を重ね、人間として成長できる環境があります。存分に学び、大きく羽ばたいてください。