東北学院大学

学長の部屋

2021年度入学式告辞

本日ここに、2021年度入学式を挙行するにあたり、2,807名の新入生の皆様に心よりお祝いを申し上げます。保護者やご家族の皆様の喜びはいかばかりかとお察し申しあげます。残念ながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、来賓、保護者の出席をご遠慮していただいていましたが、3月18日の宮城県・仙台市共同緊急事態宣言の発出に鑑み、新入生代表者のみの出席による入学式となりましたことをお断りしなければなりません。

本日、入学される皆さんは、それぞれに高校での学びを終え、選ばれて入学の権利を勝ち取られ、東北学院大学の学生になりました。皆さんをお迎えする大学としてはこのうえない喜びであります。私たちは皆さんを一人ひとりかけがえのない人格として尊重し、受け入れ、これから卒業までの4年間、全力で支えていくことをお約束します。

東北学院大学は、6つの学部と、6つの大学院研究科、学生総数11,000余名を有する東北以北最大の私立総合大学であります。ここ仙台の地で、1886(明治19)年、日本で最初のプロテスタント教会の一員となった押川方義、その押川を支えて本学院設立に尽力したアメリカ人宣教師ウィリアム・ホーイによって、仙台神学校として、最初は2名の教師、6人の学生からスタートしました。今年、設立135年目を迎えます。仙台神学校は5年ほどで、東北学院と名前を変え、ホーイの後継者であるデイヴィッド・シュネーダー宣教師の下で発展し、1949年に大学となり、今日に至っています。創立以来、東北学院は総計19万人を超える卒業生を送り出してきました。仙台で、東北で、それのみならず、世界各地で、あらゆる職場で、また家庭で良き働きをなしています。

まず本学の教育理念の基盤、これを「建学の精神」といいますが、それは、キリスト教による人格教育であります。学則第一条には、「東北学院大学は、キリスト教による人格教育を基礎として、広く知識を授けるとともに深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させ、もって世界文化の創造と人類の福祉に寄与することを目的とする」と記しています。私たちは、この建学の精神をかみ砕いて、スクールモットーとしてLIFE LIGHT LOVEを用いています。これは、東北学院の卒業生の間で、長い間親しまれている言葉であります。LIFE(いのち)とは、有限な生命体の命と、神が自らの似姿として創造された個人の尊厳を互いに大切にすること、LIGHT(ひかり)とは、学問や科学の成果によって新しい時代を切り開くこと、LOVE(あい)とは、隣人愛をもって地域や世界に仕えることを意味しています。

この建学の精神によって、通常ならば、大学の3つのキャンパスでは、毎朝10時台に、短くではありますが礼拝が行われています。心を落ち着かせ、静謐な環境の礼拝堂で、パイプオルガンの音色の下、ステンドグラスからの光を仰ぎ見、聖書を読み、聖書に基づくメッセージを聴き、学院の根幹の精神を知ってほしいと思います。

皆さんがこれから大学で学び、生きていく時代は、「大きな変化と危機の時代」です。いまから30年以上も前に起こった東西冷戦体制の崩壊と、コンピュータによる情報革命の到来は、ヒト・モノ・カネの自由な移動を誘発し、グローバル化と呼ばれる「地球一体化」をもたらしました。人工知能(AI)やデータ・サイエンスは、便利な社会を生み出すと同時に人間の生活や働き方を変え、いまや、外国語の習得とともに、情報について学び、情報テクノロジーを利用することなしには、よりよい生活ができなくなってきています。

そのような変化の時代に危機が到来しています。それは、産業革命以来人間が自分たちの欲望を満たすために、化石燃料を使い、利益至上主義を追求した結果が、今日の貧困と地球温暖化による自然環境破壊であり、偶然的要素が重なったとはいえ、新型コロナウイルスの蔓延なのです。グローバル化による便利で豊かな消費生活と、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、私たちを取り巻く「大きな変化」とこの「危機の時代」とは切っても切れない関係にあることを教えています。

新入生の皆さんはこうした「大きな変化と危機の時代」の只中で、東北学院大学に入学しました。これからの時代は予想不可能な時代であり、羅針盤をもたずに航海に出るようなものです。このような困難な時代だからこそ、基礎的な学力である教養と専門的な知識と技能をしっかり身に付け、その知識や技能を活用できると同時に、他者とのコミュニケーション能力をもち、責任ある行動をとれる人間になる必要があるのです。

東北学院大学は2036年の創立150周年にむけて作成された中長期計画TG Grand Vision 150「ゆたかに学び、地域へ 世界へ」のモットーをもとに現在、3つの、大きな変革をなそうとしています。

その第一は、情報機器の利活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応です。本学は今年度から新入生全員にBYOD(Bring Your Own Device)すなわち、PC端末必携を実施します。PCは授業で使いますが、来年度からは皆さんの「学修成果」(learning outcomes)が可視化できるようにe-portfolioを導入していきます。それによって、皆さんが大学で目指しているものは何であり、皆さんはどの程度それを身に着けることができたかを、PCで一目瞭然に分かるようになります。こうして大学生活においてPCは学修のための「羅針盤」として必須のアイテムとなります。

第二は、「主体的学修」(active learning)の機会の増大です。東日本大震災以降、本学では、地域について学ぶ授業を積極的に推奨しています。大学の授業はなにも教科書を読み、教室で行われる授業だけではありません。実際に地域に足を運び、見聞きし、調査して考え、厳しく評価し合うような、問題解決型の授業があります。そのために、東北学院大学は、ホーイ記念館に最新のITメディア設備を備えたラーニングコモンズという学びの施設を用意しています。主体的学修という意味では正課ではありませんが、10年前の東日本大震災以来、本学の災害ボランティアステーションは、全国の大学ボランティア活動のキーステーションとなって活躍しています。どうぞボランティアに参加して、地域の人々と交わり、視野を広め、自分は何をしたら世のため、人のために喜ばれるのかを判断できる能力を身に付けてください。本学は、建学の精神で謳われている人格形成にとって大切な体育会、文化団体、サークル等の課外活動も奨励しています。

第三は、丁度2年後に迫った現在五橋に建設中の新キャンパスの供用です。それまで皆さんは、泉と多賀城のキャンパスに分かれて学びますが、泉の教養学部の学生も、多賀城の工学部の学生も、2年後には、土樋・五橋の都心型ワンキャンパスに集合することになります。その時皆さんは3年生になっていますので、本学の伝統を継承し、その伝統を新しいキャンパスにおいて始まる本学の未来に橋渡しする役割を果たすことになります。

緊急事態宣言を受けて、明日からのオリエンテーションは対面と遠隔(オンライン)で開催し、授業は5月1日まで原則遠隔授業となりました。今日から大学生としての4年間の学びがスタートします。皆さんは、日本の、いや世界の大学一年生と肩を並べ、同じスタートラインに立ったわけであります。受験勉強から解放された皆さんは、大学生の4年間は高校生の3年間より長いということに思いを巡らせるべきなのです。4年間大学での学びが皆さんの将来の「伸びしろ」を確実に用意します。もちろん大学はサポートを惜しみませんが、未来は、皆さんの学修意欲次第で決まるといっても言い過ぎではありません。

最後に聖書の有名な言葉を贈ります。「求めなさい。そうすれば与えられる。…門をたたきなさい。そうすれば開かれる」(マタイによる福音書7章7節)。

ご入学おめでとうございます。

2021年4月1日
東北学院大学 学長 大西 晴樹